恋愛小説やマンガはOK? 「子どもの語彙力」を伸ばす本との付き合い方
電車はもちろんベッドの上でもトイレの中でも”スマホ漬け”の現代人。大人はもう仕方ないとして、子どもだけでもなんとかならないか――。
本が読めなければ、興味のあることを探求したり独学したりするのも困難。学校がいくら「子ども読書」の活動をしても、その力は家の中まで及ばない。このような危機感を持つ親も多いだろう。
では、子どもの「読む力」を伸ばすために親はどうサポートしていけばいいのか。『ちゃんと「読む」ための本』の著者で、情報整理や読書術の分野でもベストセラーを持つ奥野氏に聞いた。
奥野宣之(著作家・ライター)
1981(昭和56)年、大阪府生まれ。同志社大学でジャーナリズムを専攻後、出版社・新聞社勤務を経て、著作家・ライターとして活動。読書や情報整理などを主なテーマとして執筆や講演活動などを行っている。『情報は1冊のノートにまとめなさい[ 完全版]』『読書は1 冊のノートにまとめなさい[ 完全版]』(以上、ダイヤモンド社)、『図書館「超」活用術』(朝日新聞出版)、『学問のすすめ』『論語と算盤(上)(下)』(以上、致知出版社「いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ」現代語訳)など著書多数。
「文字と親しむ」姿を見せる
――小中学生の娘2人の父親でもある奥野さんですが、教育方針のようなものはありましたか?
私はそもそも「教育」というものに懐疑的なので、あまり意識したことはなかったですね。いちおう『子どもを理科好きに育てる本』(中野不二男/角川学芸出版)とか読んで、好奇心を伸ばすような接し方を心がけたりはしたんですけど、2人とも科学に興味なさそうです(笑)。
まあ、「親はなくとも子は育つ」と言うし、勝手に伸びていくのを邪魔しないようにしようというくらいですね。
――では「読書は大事だよ」「本を読みなさい」といったことも?
特に言ってないです。ただ算数や理科の教科書も日本語で書かれているんだから、文章がちゃんと読めないと、教科書や参考書で復習することもできない、取扱説明書を読めないと電化製品も使えないぞ、と。
日本語に囲まれて生活しているわけだから、日本語の能力が求められる。まったくもって当たり前の話です。
――でも、お子様は「よく読むほう」だと聞いています。
たまたまそうなったとも言えるし、「結果的にそうなればいいな」と思って仕組んだ、とも言えますね。まず私自身、紙の新聞や雑誌が好きで、年がら年中、寝転がってページを繰ったり、記事をハサミで切り抜いたりしているもんだから、その影響もあったでしょう。
そんな姿から「文字と親しむ」という具体的なイメージができたんじゃないかな、と。いつの間にか、小学生新聞をノートにスクラップするようなってました。